top of page
執筆者の写真藤井 充

試作機の製作

更新日:2022年9月27日

こんにちは。

お盆休みですね。

私は休み前までの怒涛の製作ラッシュを終えて、久しぶりにのんびりと家で過ごしています。


さて、Sunameriの試作機のお話を。

2018年春先に本格化した試作では、こんな仕様でした。


モーター:定格600W(瞬間最大2400W)ブラシレスモーター

バッテリー:9.0Ah 48Vリチウムイオンバッテリー(アシスト自転車用のパックを流用)

モーターコントローラー:VESC


モーターは、現行Sunameriのホイールインモーターではなく、アウトランナーと呼ばれるモーターのアウターケースに永久磁石が貼り付けてあるタイプの物を使用しました。ラジコンやドローン、電動スケボーでよく使われている物です。

モーターの駆動はベルトを介してリアホイールへ伝達、という設計です。

この時は、ギア比の最適化が後でも可能だったり、バネ下重量の低減という点に注目して、このシステムにしました。


上は仮組状態の試作機。

ベルトは掛かっていませんが、ギア付きのリアホイールが見えます。


デッキはカーボンの板、というシンプルな設計です。このデッキの裏面にバッテリーパックとモーターコントローラーを取付したのですが、乗ってみるとしなりが大きくなり過ぎてしまったので、デッキ側面に補強を入れた覚えがあります。



デッキ側面に立壁が見えます。「しなり過ぎ」対策の補強です。


ナンバーを取得して、公道でのテストを開始してみると、いくつもの問題が出てきました。

主な問題としては、

①VESC(オープンソースの電動スケボー用モーターコントローラー)と試作機のスペックとの相性が悪く、スタート時の脱調が解消できなかった。スタート時に「ゴゴゴ」という異音がとても不快。

②9.0Ahのバッテリーパックの出力が低く、モーターが要求する電流を出力しようとすると、カットオフする。加速時には電動アシスト自転車の10倍くらいの電流値が必要。

③比較的大電流で出力を続けると、当初計算していた半分程度の電費しか得られない。(10㎞強しか走れない)





という訳で、作ってみたものの、どうにもこうにもイマイチ役に立たない乗り物が出来上がってしまいました。(汗)

「これじゃあ、電費が気になって通勤にも使えないじゃん。」

と、思いつつも、スラロームしてみると、これはなかなか楽しい。

道の上でウェイクボードしている気分。


余談ですが、私は独身時代、レーシングドライバーの夢が破れた後、マリンスポーツにハマっていた時期がありました。

自分でレジャーボートを持って、ウェイクボードをやったりしていました。

決して上手ではありませんでしたが、日曜日の朝、まだ朝凪の海原をウェイクで滑走するのは格別な時間でした。

あと、一人乗りのジェットスキーも、これまた不思議な滑走感覚で、滑らかに走るウェイクよりも力技な印象ですが、立ったまま水面を走るのは、他のマリンスポーツには無いものです。


Sunameriの開発を通じて、夜明け直後のウェイクのフラットな水面を滑る感覚、あと、一人乗りのジェットスキーの立ったまま走る滑走感覚は、イメージとして共にありました。

あの感覚を路面を走る乗り物で再現したい、と。


という訳で、性能的にはイマイチな試作機でしたが、スラロームの感覚としては、期待値以上のモビリティになったので、気を良くして、より量産に近い試作に取り掛かる事にしました。



閲覧数:742回0件のコメント

最新記事

すべて表示

トラブルから学ぶ私たちのモノづくり

Sunameriの製品化から2年余りが経ちました。 当初、フヂエンとしては初めての量産製品だったので、ある程度の「すったもんだ」は予期していたのですが、2020年2月からのコロナは全く予期していなくて、大変な時期を過ごしました。...

Comments


bottom of page